映画の中のクラウン達①~三大喜劇王~
さて、問題です。
みなさんは、「三大喜劇王」って誰か分かりますか?
突然の問題すいません。
こんにちは。
現役のクラウン(道化師)でありながら、大のクラウン好きのじ~にょです。
クラウンに関して、色々と調べていくのも好きです。
日本には自分よりもクラウンに関して、マニアックな方がたくさんいて、自分もその方々に近づけるように勉強していきます。
本日のテーマは「三大喜劇王」です。
クイズの答えは、
チャップリン
キートン
ハロルド・ロイド
です。
分かりましたか?
この三人は、1910年代から活躍しはじめて、映画の中心地のアメリカはもちろん、日本や世界中で大人気の映画俳優であり、クラウンでした。
今は映画の中にクラウンが出てくることって少なくなりましたが、映画ができたばかりのころ、今から100年ほど前の1900年代前半は、クラウン達が映画の中にたくさん登場していました。
これは声を映像に入れる技術がなかった為、無声映画と呼ばれて、身振り手振りの表現が上手なクラウン達が活躍した訳です。
本日は、三大喜劇王のじ~にょ的な見方とおすすめ映画をご紹介していきます。
それでは、最後までお楽しみ下さい。
三大喜劇王①チャーリー・チャップリン
日本ではこの中で一番、知名度があるのではないでしょうか?
ぶっちゃけ、クラウンは知らないけど、チャップリンは知ってるっていう人も多いのではないでしょうか?
「喜劇王」の異名を持ち、生涯81本の映画に出演し、監督もつとめました。
自分で脚本を書き、自分で演じて、ほかの人にも演出したり、それだけでも凄いのに、作曲なんかもしていて、1972年には、『ライムライト』という作品でアカデミー賞の作曲賞も受賞しています。
かなりマルチな才能があったようです。
チャップリンの生涯
チャップリンは1889年にロンドンで生まれました。
両親ともに役者でしたが、幼い時に離婚、母親も精神が不安定になってしまい孤児院で育ちました。
兄のシドニーとともに様々な仕事をし、19歳の時に劇団に所属し、評判を得ていきます。
1914年に映画デビュー。
そこから多額の富と人気を獲得していきます。
1921年の初の長編『キッド』が大ヒット。
1925年の『黄金狂時代』も記録的な興行成績を収め、1928年に制作の『サーカス』が第一回アカデミー賞の特別賞を受賞。
しかし人気を得るとともにバッシングも強くなっていきます。
以後に発表した映画の『モダンタイムス』や『独裁者』は政治的メッセージが強いとされ、批難も受けるようになりました。
そこに当時の社会情勢も加わり、1952年に事実上のアメリカから国外追放命令が下されました。
アメリカに追放された後は、映画製作のペースも落ち着き、スイスに移住して晩年を過ごす。
1972年にはアカデミー賞名誉賞受賞のため20年ぶりにアメリカに戻り、スタンディングオベーションで迎えられる。
1977年。スイスにて他界。
かいつまんでチャップリンの生涯を記述していきましたが、かなりの波乱万丈な人生を過ごされました。
じ~にょが感じたチャップリンの印象
まず最初の印象は面白い!
何を当たり前のことを言ってるのかと言われてしまいますが、動きがコミカルでかわいいんです。
特に初期の映画を見ると、ちょこまか歩く姿や転んだりする姿が非現実的でアニメを見ているみたいな動きなんですよね。
これは倍速で上映されていたこともありますが、チャップリンの身体能力も高いからこそできる技なんですよね。
さらには間も良い!
初期の作品に「ベニスの子供自動車競走 (1914年)」という作品があって、ひたすらカメラに入ろうとするチャップリンと追い出そうとするカメラマンという内容です。
実に良い間でチャップリンが入ってくるんですよね。
すべての笑いの能力も兼ね備えていた方なんだなぁって思います。
現代でも、このようなパターンの笑いは数多く作られていますね。
チャップリンの作風は、初期のころと後期のものでは変わってきます。
初期は、ドタバタな喜劇が中心であったのに対して、それに加えて後期にはペーソスと言われる哀愁の表現が付け足されていきます。
これがまた良いんですよね。
人間の切なさを映し出したり、心にぐっときます。
作品を見終わった後の感想は、「笑えるし、泣ける」。
この感覚、日本人にも合うと思います。
さらには、社会を風刺するような内容も加わり、かなりのエンターテイメント性を発揮しています。
喜劇王と言われていますが、涙があったり、感心したり、ストーリーに魅せられたりもするんですよね。
喜劇王というか、もうエンターテイナーです。史上最高のエンターテイナーでしょう!
チャップリンのおすすめ映画
ちなみに映画評論家の故・淀川長治さんはチャップリンの「黄金狂時代」という映画がお気に入りのナンバーワンっと言っておられました。
じ~にょ的には、初めて見るなら、「街の灯」がおすすめです。
ただ、一本に絞るのは正直、ナンセンスです。
全部良いです(笑)
ぜひ、チャップリンの笑いと哀愁に浸って下さい。
三大喜劇王②バスター・キートン
続いてはキートン。
チャップリンと同じく監督・出演・脚本をやっています。
バスターとは、「頑丈な男の子」という意味で、子供の頃に階段の上から落ちてしまった時も平気な様子をしていたので、この芸名が名づけられました。
チャップリン同様、波乱万丈な生涯を送っております。
キートンの生涯
1895年にアメリカのカンザス州で生まれます。チャップリンより6年後ですね。
両親は寄席芸人。幼少期より舞台に立ち、人気を得ていく。
1917年に人気の喜劇役者であった、アーバックルに誘われ映画の世界に入る。
舞台で培ったスキルと持ち前の頑丈な体を活かして、一躍、スターへと駆け上がる。
しかし1930年代に入ると、トーキーの映画が主体となってきたこともあり、人気は衰えてくる。
キートン自身もアルコール中毒になったり、破産をしたり、散々な人生を。
しかし、1950年代には再評価を受け再び脚光を浴びたりもする。
1966年、肺がんにて死去。
じ~にょが感じたキートンの印象
キートンの得意技といえば「ストーンフェイス」というのがあげられます。
いわゆる「無表情」という事なのですが、これは喜劇的表現の中で発明の一つではないかと思っています。
キートンは、何が起こっても涼しい顔をして、笑わないんです。
これが目の前ですごいドタバタが繰り広げられていても、平然と無表情でいるから、そのギャップに笑ってしまうんですよね。
よくこんな笑いの取り方を考えたなぁ~って。
でも、これ演じ手としては、かなりの勇気のいる事だと思います。
表情を出した方がお客さんに伝わりやすいの当たり前ですし、顔がアップで映し出されるスクリーンではなおさらの事です。
そして、何が起こっても「無表情」って面白い事っと分かっていたとしても、これで実際に笑いにもっていくのには、相当な技術がなきゃできないですね。
真似したって簡単にできることではないんですよね。
キートンも類まれなる運動神経を持っていました。
危険なアクションをスタントマンを使わずに演じていました。
この運動神経も、無表情が笑いに繋がるテクニックの一つなのかもしれません。
チャップリンと比べると哀愁というもの少ないですが、映画もハッピーエンドで終わる事も多く、すべてを笑いでまとめようとする気持ちが強かったのかなぁって思います。
自分の周りのコメディ仲間でもチャップリンよりもキートンの方が好きっていう人も何人もいます。
ちなみにチャップリンとキートンは不仲といわれて共演することがありませんでしたが、チャップリンの晩年の作品、『ライムライト』で共演しております。
楽器を使ったギャグのやりあいですが、このシーンはアドリブで撮られたとも言われており、チャップリンもキートンも両方大好きな自分にとっては、よだれが垂れっぱなしのシーンです。
キートンのおすすめ映画
じ~にょのおすすめ映画は、「文化生活一週間」という作品です。
仕掛けがすごい!
こちらの作品は現在、DVDボックスにしかありませんでした。
三大喜劇王③ハロルド・ロイド
三大喜劇王の一人ですが、他の二人に比べて馴染みのない人も多いですかね。
でも、喜劇王に入るだけあって、凄いんですよね。
ロイドがかけている丸い眼鏡のことを、一昔前はロイド眼鏡と呼んだりしていました。
かつての日本でも、しっかりと人気を得ており、興行成績ではチャップリンを上回ったこともあります。
ロイドの生涯
1893年にアメリカ・ネブラスカ州に生まれる。
生まれた順は、チャップリンとキートンの間ですね。
1913年にエキストラとして映画界に入り、1915年に有名はプロデューサーであった、ハル・ローチの下で主役として活躍する。
様々なキャラクターを演じていくが、次第に固まっていき、短編から中編映画に移行し始めると、豊富なアイデアが評価され人気を得ていく。
撮影中の事故により、指を失うが、以後も義指で高度なアクションを演じていく。
トーキー時代に入り、苦労はするものの、ヒットも飛ばす。
1952年にはアカデミー特別賞を受賞。
1971年に死去。77歳でした。
ちなみにチャップリンは88歳。キートンがなくなったのは71歳でした。
じ~にょが感じたロイドの印象
ロイドの笑いの取り方は、頭で考えて計算して取っていくやり方というイメージです。
チャップリンが、転がったり、ぶつかったり、池にはまったり、キートンが列車に追いかけられたり、体を張った笑いの取り方をする一方でロイドは伏線を巧妙に張って、笑いを作り上げていくというのに長けています。
でも決して、体を動かすのが苦手という訳ではなくて、高所で危険なスタントをこなしたりしています。
後に、アクションスターのジャッキーチェンがその要素を取り入れたりもしていました。
身体表現も得意です。
いわば何でもできるんです。
また、動物を使ったギャグを取り入れたり、字幕を使い言葉を使ったギャグも用いたり、笑いの取り方は多岐に渡っていて引き出しが多いです。
キャラクター特性も普通の人間であることから共感して笑える所も強みです。
普通の人間が、最後は大きな事を成し遂げていくというのも、エンターテイメントとして気持ちが良いですね。
ロイドのおすすめ映画
『要心無用(1923)』という作品です。
ストーリーがしっかりしていたり、ギャグの種類も豊富で、体もはっています。
ロイドの色んな要素が詰まっています。
最初のロイドの写真(時計にぶら下がっているやつ)は、この映画のワンシーンです。
これを見たらロイドのファンになること間違いなし!
お時間ある方は、ぜひ三大喜劇王の作品を見て下さい。
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